☺ラッツカテーテル硬膜外神経根形成術(Epidural Neuroplasty)
Adhesiolysis(癒着剥離術)
Neurolysis(癒着溶解術)
Decompressive Neuroplasty(神経根減圧術)とも言います。
ラッツカテーテル硬膜外神経根形成術
(ラッツ・スプリングガイドカテーテル法)
1)ラッツ博士(米国)が開発したカテーテルを用いて1980年代から始まる
2)通常の治療にて効果の少ない疼痛を伴った腰(頚・胸)神経根症に行う透視下
神経形成術
3)カテーテルを癒着組織内または疼痛神経根近辺・硬膜外腹側外側に留置
4)カテーテルによる癒着剥離と薬液の集中的投与による化学的機械的剥離
5)カテーテル自体は柔らかく、安全で使い易い構造になっている。
☺ラッツカテーテル法とは
・腰部椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎手術後神経痛などに有効な治療法です。
・特殊カテーテルを脊椎内硬膜外に挿入し、薬剤を用いて痛みの原因となる炎症や癒着
を選択的に治療します。
・手術前の保存的治療に最適です。
・2018年より保険適応になりました。
☺ラッツカテーテルの治療期間は1日(日帰り手術)
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・脊椎手術後神経痛を早く治療したい方はラッツカテー
テル硬膜外神経形成癒着剥離術が効果的です。
☺頑固な腰痛治療・椎間板ヘルニアにも効果的
・1日から3日で軽快治癒するラッツカテーテル硬膜外神経根癒着剥離神経形成術が
効果的です。
・松本医師は日本国内におけるただ一人のラッツカテーテルインストラクターです。
日本国内の大学病院を始め、一般病院、診療所などで技術指導を行っています。
またラッツ博士から紹介された米国の患者さんも来院され治療を行っています。
☺Raczカテーテルは神経根症(痛み)の原因を改善します。
神経根・硬膜の癒着・圧迫(ヘルニア・狭窄症・脊椎手術後により発生)が神経の
①腫れ(炎症)
②伸展制限・可動域制限
③血流障害(神経虚血・うっ血)
をきたし痛みを起こします。
ラッツカテーテルは以上の神経根症(痛み)の原因を改善します。
☺ラッツカテーテル手技アニメーション
☺使用する器具
【ラッツカテーテルとスティングレイコネクター(Epimed社)】
【ラッツカテーテル先端12mmの構造:先端が丸く安全に設計されている。(Epimed社)】
☺硬膜外神経形成術の歴史
・日本では1980年から松本が・MTカテーテルにて脊柱管狭窄症などに
高張食塩水を使用し治療(約1000例治療)。
ラッツ博士よりも早く同様の治療を行っています。
・米国では1980年代,Racz&Holubec 癒着剥離促進のため
硬膜外高張食塩水
を使用:ラッツカテーテル法
・2005年に松本・野坂 ラッツカテーテルによる硬膜外神経形成術を日本で初め
て施行
☺適応症
・脊柱管狭窄症
・椎間板ヘルニア
・脊椎手術後神経痛(腰部下肢痛)
・腰部神経根症
・外側陥凹(椎間関節下)狭窄症・椎間孔狭窄症
・神経根性ニューロパシックペイン(帯状疱疹後神経痛など)
・背部痛・腰痛症、神経根症
・硬膜外癒着瘢痕症
・硬膜外線維症
☺禁忌
* 局所感染症
* 血液凝固異常
* 不安定脊椎
* 腹臥位がとれない
* 患者さんの同意が得られない
* 癒着性くも膜炎
* 血液をさらさらにする薬、や血流改善剤服用の方
☺使用薬剤
*1%リドカイン(メピバカイン)10ml(皮膚麻酔用)
*造影剤5~20ml:硬膜外造影
*生理食塩水10ml+(ヒアルロニダーゼ1500単位)(癒着剥離)
*0.2%ロピバカイン10ml+デカドロン4-16mg
*10%高張食塩水10ml
☺当院実例:癒着剥離後の神経根造影
右腰椎5番目神経根癒着 |
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癒着剥離にて神経根が見える |
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I)左L5経椎間孔法 |
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Ⅱ)左L5神経根硬膜外癒着剥離形成術 |
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ラッツカテーテル頸部神経根癒着剥離術
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右C4,5番神経根剥離 |
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右C8神経根剥離 |
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☺要約
1.脊椎手術後神経痛、脊柱管狭窄症、ヘルニア治療に対して本法は硬膜外内視鏡
よりも簡便にできる。
2.外来通院でできる。
3.脊椎術後癒着性神経根症、脊柱管狭窄、ヘルニア治療有効性を確認し学会誌に
報告している。手術前の保存的治療として勧められる。
4.注入薬剤の浸透効果により硬膜管周囲の癒着・炎症が改善され疼痛が減少
(癒着硬膜外腔・神経根の血流改善、腫脹減少)する。
☺テクニック(アプローチ方法)
Ⅰ:経仙骨裂孔法(仙骨裂孔からのカテーテル挿入からカテーテルを挿入:主としてS1,2 L4,5)
Ⅱ:経椎間孔法(腰椎上部L4以上の神経根治療)
Ⅲ:松本法(経後仙骨孔S1法)
Ⅳ:経椎弓間法(頸部、胸部)
Ⅴ:ダブルカテーテル法(Ⅰ+Ⅱ:Racz法、Ⅱ+Ⅲ:松本法)
☺当院の成績:1年後で77%の有効率
2012発表・WIP総会・米国(Tomikichi Matsumoto, Hirotosi Kitagawa)